以上が、ＭさんのＺ式健康法の経過ですが、しかし問題が全くないわけではありませんでした。ＭさんがＺ式健康法を始められた頃に、よく奥さんが付き添ってお見えになっていましたが、イオン入湯療法については、この奥さんから風呂桶が汚れて困ると、お見えになるたびに苦情を言われたものです。あまり言われるので、私も言い返しました。

「それでは奥さん、あなたは、ご主人の健康と風呂桶とどちらが大切だと思っておられるんですが。あなたがノーと言われるんでしたら、これはもう私のでる幕ではありません。」

実は、こういうケースが少なくないことを、私は申し上げたかったのです。もしも私が医師であったならば、その奥さんもこういう言葉はけっして口にされなかっただろうと思いますが、とりわけ病人が高齢者の場合、ご本人が健康の回復を望んでおられるのに対して、家族の方がそれをあまり喜ばれない風潮があって、とても考えさせられることです。

もうひとり、今度は女性のケースをご紹介しましょう。

この方もたまたま、手術をせずに、Ｚ式健康法 だけで根治されました。しかし、これはけっして、胃腸病には手術の必要がないなどと言っているわけではありません。私自身は日頃、最新の科学技術を駆使した外科の手術に対して、全幅の信頼をおいている者です。

ですから、このケースでは、おなじＺ式健康法でも回復の期間に、かなりの個人差があることにぜひ注目していただきたいのです。それとともに、おなかの宿便をとって、イオン入湯をするだけの簡単な健康法ですが、これもご自分のからだとよく相談して、からだに合った治療法を見つけることが大切です。そしてこれは、Ｚ式健康法の特色であるともいえましょう。

私は胃腸が弱いせいでしょうか、顔色がドス黒く、何を食べてもふとらず、ゆううつな毎日でした。

結婚した直後から、症状が急激に悪化しました。腸に関しては、左下腹部が常に痛く、夏頃からは粘液便になります。おなかを手で押してみると、不気味な固いものがありました。おどろいて近くの医師にみてもらったところ、大病院を紹介されて直腸検査を受けました。

検査の結果は直腸がひどくただれているということで、アメリカ製の薬とかいう薄茶色の大きな錠剤を、１ヶ月くらい飲み続けました。しかしドス黒い顔の色は、ますますひどくなるばかりです。体も次第にだるくなってきたので、薬の服用をやめてしましました。

また胃に関しては、毎年秋口になると胃痛の苦しみを重ねていたので、２年後に思い切って胃腸クリニックで胃ガン検査を受けたところ、び爛性胃炎と診断され、手術をしなければいけないといわれました。フィルムを見ると、素人でもわかるほど破壊されていました。

それでもなお、胃を切らずに根治することはできないものかと、病院を変えたりしているうちに、胃腸の治療にはＺ式健康法が最高だという評判を聞きました。私はその話しにすぐとびつき、最後の望みを託する思いでかけてみることにしました。

そうは言うものの半信半疑で、内心、胃腸の宿便をとることができるなら、それも結構なことだというほどの気持ちでした。ともかくやってみようと、週３回の宿便清掃に挑戦しました。あらかじめ話に聞いてはいたものの、はげしい水便状態にはびっくりしました。しかし快適でした。

水便を調べてみますと、砂状の不可解な内容物がどんどん排出されていることが、確認できました。色は茶褐色、こげ茶色、ときには緑色もあり、さまざまでした。

６ヶ月ほど健康法をつづけた頃、体の調子もだいぶ良くなってきたように思われ、顔色も少し赤みがみえるようになってきました。健康法の効き目はどうなのかと、ためしにクリニックで前と同様な検査をしていただいたところ、異常なしと言われました。そのときはまったく万歳と叫びたいほどの喜びでした。

もう少しで手遅れになるところだった胃腸疾患を、克服することができたばかりでなく、朝夕のイオン入湯によって長年の冷え性も解消しました。すばらしい健康法を懇切にご指導下さった岡部先生に対して、私は１日たりとも感謝の念を忘れたことがありません。