私たちは一生のうちに、どれくらいの量を飲み食いしているでしょうか。仮に人生60年と考えると、一生にざっと50トンもの食べ物と、5万リットルもの水分が必要だといわれています。それらを毎日身体の中に放り込んでいるわけで、当然、体内にもゴミがたまり、汚れがひどくなっています。
水道管を考えてみてください。直線的でストレートに水を流すだけでも、長い年月がたつと水垢がつき、汚くなります。ただの水でさえもそうなのです。私たちの身体には、さらに肉や魚、野菜や果物など、いろんなものが毎日雑多に流されており、しかも腸は複雑に曲がりくねり、無数のデコボコがあるのです。この腸の中に汚れがたまらないはずがありません。クネクネやデコボコどころか、私たちの腸の中には、絨毯(じゅうたん)の毛のような絨毛がびっしり密生しているのです。絨毛はユラユラと海草のように揺れ、食べた物が通過するときに、養分を吸収するという大切な役割をはたしているのですが、その反面、食べた物のカスが絨毛に引っかかるため、残留しやすくなっているのです。
1度食べた物が引っかかると、後から後からカスがたまるようになります。その部分はカスでふさがれていき、ふさがれた部分が多くなると、栄養素を消化・吸収するという機能が低下していきます。すると他の内臓の機能が低下していき、徐々に全身に影響を及ぼすようになります。人体のはたらきはひとつの大きな工場であり、特に栄養素を吸収できる機能を唯一もつ腸のはたらきが低下すれば、身体の各所で必要とされるエネルギーが確保できなくなり、全体のはたらきに影響を及ぼすのです。
腸にたまったカスや残留物が、身体に及ぼす影響は大きいのです。さまざまな症状の諸悪の根源といってもよいでしょう。残留物によってふさがれた腸壁は、食べ物の栄養素はもちろん、食べ物に含まれているイオンの吸収も阻害します。イオンの吸収が阻害されると、自律神経に失調をきたすようになります。
この残留物を医学用語では腸内容物と言い、一般的には宿便と言っていますが、私はその性質の悪さと、身体へ多大な影響を及ぼすことから「おなかのヘドロ」と呼んでいます。
宿便というのは、肛門の近くにたまっている古い便のことではありません。宿便は大腸だけでなく、腸内のいたるところに沈着しています。この宿便が、現代のさまざまな病気を引き起こす、根本の原因となっているのです。 |